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なぜ、グローバル・ビジネスでリスクが発生するのか①

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さて、前回のリスク・マネジメント&コンサルティング協会のコラムではグローバル化が加速度的に進んでいる現代において想定されうるリスクについての概要を書かせていただきました。 今回から4回に渡っては、リスク・マネジメントに必要なその発生源について分析していきたいと思います。

私の場合、365日約90%が海外の方々との直接取引となっています。 取引先は欧米だけではなく、香港、シンガポール、ASEAN諸国、インドetc.とかなりバラエティです。

彼らとのビジネスは、その国特有の商習慣や文化があるため、最終ゴール地点は同じでも、やり方が異なってきます。そのため、仕事をする際、まず彼らの国と日本の商習慣や法律の違いについて、時間をかけ、ちんと理解するところまでもっていきます。
そうすると、ある瞬間、相手が腑に落ちます。そして、同時にこちらも腑に落ち、理解し合える場が形成されます。ここから出発すると、ある程度の困難があろうと何とかなります。
ところが多くの場合、互いの意見と思いをぶつけ合うだけで、お互いにいがみ合い、敵味方のような状況でプロジェクトを進めています。
そのようなときに、実務を含めてのコンサルティングのお話をいただくケースが多いのですが、現場に入ってまず思うのが「きちんと相手の言っていることを理解されましたか?」ということです。そして同様に「ん?! 相手にちゃんと通じていると思っていますか?」ということです。
日本人はロジカルに話すことが非常に苦手です。
これは言語体系がもたらす影響が大きいのですが(この言語体系がもたらす影響に関しては、次回、解説します)、何しろ、相手が何か言ってくると「感覚と情」で話を進めようとします。
しかし、問題は「感覚と情」は、同じ文化背景を持ち、長い時間共に過ごしていないと共有できるものではないということです。
「俺が何を考えているか、わかるよな?」は海外の人には通じません。通じたように感じたのは気のせいです。文化背景に対する同じ知識を持っていない以上、共有されていないと思ったほうが安全です。

ところが、日本人、特に男性は相手に自分たちのことを自分たちのロジックで押し付けます。相手が理解できるベースを持っているか持っていないかなどお構いなしです。 通じないと「あいつらがダメなんだと」と切り捨てます。
確かにこの考え方は楽です。
ただ、本当にこれでビジネスが成立するのでしょうか?
21世紀に入り、ビジネスはネット―ワークを通じて共有して初めて成立するようになっています。多くの人と情報を共有できなければ物事が成り立たなくなっているのです。
では、どうすればいいのでしょうか?
まず1つの手段としては、相手の話を聞いたときに自分が思い込みで話を聞いていないかということを常に意識に上げるということです。当たり前のようですが、これが難しいのです。
その理由は人間の脳にはRAS(網様体賦活系)という機能が付いています。
この機能はその人物にとって重要だと無意識が判断したものだけを自分の中に取り込むというフィルタリング作業を行っています。つまり、日々生きていくために必要のない情報は無意識のうちに捨てられているということです。
結果、目の前にいる相手が発している情報を発せられている通りにピックアップできないということが起こります。さらに、脳はピックアップした情報を使って自分に都合のいい話を作り上げるのです。結果、思い込みによる間違った判断が発生するのです。(詳しくは参考文献をご覧ください)

だからこそ、常に客観的に期待値を持たずに、相手の返事や反応を観察し、こちらの意図が通じていないなと感じた時には、相手に通じる言葉、ロジックがどこにあるのかを探るという作業が必要なのです。
そして、この作業を行うことにより、両者間の溝が明確になります。
その大きさ、形状を知ることにより、先に進む際に陥るであろう落とし穴を避けることができる、つまりリスクをマネジメントできるようになるのです 。

 

次回は、リスク発生源の1つとして考えられる言語体系の違いについて解説していきます。

【参考文献】
単純な脳、複雑な「私」 (ブルーバックス)  池谷 裕二 著
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その英語、ネイティブはカチンときます デイビッド・セイン著
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その英語、ネイティブはハラハラします デイビッド・セイン&岡 悦子 著
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